製薬企業は主観的でコストのかかる目視検査に換えて、自動外観検査選別機への投資をますます増やしています。これらの機械は人の手を自動機械搬送に、人の目をデジタルビデオカメラに、効率よく取って換える必要がありますが、最も大切で挑戦的ことは人間の頭脳を人工知能、すなわち画像処理、分析、理解や意思決定のための複雑なソフトウェアに取り換えることです。このような技術は容易く理解できるものではありませんし、要求の多い製品や、または特定の不良を検査するときには100%信頼できるものでもありませんので、検査技術への投資を検討する際にはそのリスクがかなり大きくなります。
コスト
自動外観検査機のライフサイクルを通してのコストは、検査機の見積価格の二倍以上となります。コストは投資とメンテナンスコストというわかりやすいものと、さらに隠されていてもっと分かりにくいオペレーションとパフォーマンスコストから成り立っています。
最初の隠れたコストは、オペレーションコストです。機械が公称能力で稼働しなければ、或いは洗浄や切り替えに時間がかかりダウンタイムが長ければ、これは高いコストとなります。二つ目の、そして最も多く見逃されている隠れたコストがパフォーマンスコストです。これは、検査の質が最適ではないことに起因します。検査の質というのは、機械が正しく製品の不良を検出し、選別できる能力のことです。誤った排除も誤った良品としての受け入れも、製品の特性と機械の設計に依存します。つまりそれにより、どの不良に対して検査の感度を上げ、どれほどのばらつきなら受け入れる必要があるか、が決められるのです。単に明確な不良(例えば、黒点や形状不良)のみならず、製品の機能性に影響するもの(例えばラミネーション状態やコーティング不良)または製品の識別に影響する不良(例えば刻印や印字の可読性)等、全ての重大な不良になり得るものを信頼性ある検出ができた時に、誤った排除と誤った良品としての受け入れを最小限にする質の高い検査が達成されるのです。
誤った排除
誤った排除とは、良品へ受け入れ可能な製品が不良と選別されることです。これは受け入れ可能な製品が良品として販売されるのではなく、間違って排除されるのですから、直接、安易に測れるコストになります。
誤った良品への受け入れ
誤った受け入れとは、不良品が良品として受け入れられることです。これはバッチのリコールや会社の評判に対するリスクを上げる間接コストとなります。
リスク
自動外観検査機に関連するリスクは、機械の設計不良と検査品質の低下に起因します! 深刻な結果をもたらす故に知っておかねばならないリスクが4つあります。
悪い検査の方法
検査機の誤った排除率が高い時、間違って排除された製品を取り戻そうと、オペレータは時に検査を繰り返します。このようなやり方は検査能力を低減させるばかりでなく、GMPに違反することになり、監査員や規制当局との軋轢を招く恐れがあります。
ヒューマンエラー
機械の設定時は、オペレータがどれか低いレベルのパラメータを(例えば、照明、カメラ、レンズ、機械設定等)マニュアルで設定や調整する必要があれば、ヒューマンエラーのリスクが高くなります。 これらのパラメータはすべて複雑な相関関係があり、検査の質に直接影響し、扱いには深い技術的知識が必要とされます。もし、機械が使いやすくなければ、たとえ訓練を受けたとしても、十分に機械を使いこなせる自信は持てないと思われます。
バリデーション
外観検査機はバリデーションされた測定システムです。もし、オペレータが稼働のために低いレベルのパラメータの設定や調整をしなければならないなら、検査機はバリデーションされていない稼働点にたどり着く結果となるかもしれません。このような場合は、退屈で時間のかかる定期的なバリデーションチェックをして初めて、検証された検査が保証されることになります。検査機は毎年または隔年のバリデーションチェックで充分であるような、ライフサイクルを通して検証されている状態が最適だと言えます。これが可能となるのは、要求される品質管理に従って検査の感度を変更する以外、オペレータが機械のパラメータを変更できないように検査機が設計されている場合のみです。
最適でない検査
誤った良品への受け入れはバッチのリコールや会社の評判へのリスクを高めますが、誤った排除もパフォーマンスコストを引き上げる直接の原因にもなります。前の章で議論しましたように、両方のリスクがパフォーマンスコストの引き上げに影響を及ぼします。
パフォーマンスの評価
自動外観検査機はいくつかの大切なパフォーマンスパラメータで特徴づけることができますし、そうされるべきなのです:
パフォーマンスパラメータは、検査機サプライヤが提供する一般的な製品でなく、顧客の製品で評価されることが推奨されます。信頼できる検査機のパフォーマンスの評価には、感度、選択性、オペレーションの三つの主要なテストを行うことが望まれます。
感度 (不良検出テスト)
不良検出テストは、それぞれの不良のタイプ毎に検査機の感度を測定するものです。これらのテストは誤った良品への受け入れリスクや間接的なパフォーマンスコストへの影響の評価に役立ちます。
選択性 (誤った排除テスト)
誤った排除テストは、検査された製品毎に不良と選別された良品の量を測定するものです。これらのテストは直接的なパフォーマンスコストを評価する助けになります。
オペレーション (長期ランニングテスト)
長期のランニングテストでは、全ての該当する製品で実際の製造キャンペーンのシミュレーションをします。すなわち洗浄、機械のセットアップ、製品検査中の機械オペレーションとなります。これらのテストはオペレーション中に起こり得る落とし穴を見つけたり、使い勝手のチェックができたり実際の検査能力を見極めるのに役立ちます。
検査の質を考えることなく、品質検査機を購入することは、その精度を知らずに基準計器を購入するようなものです。購入前にトライしましょう。先にリストアップしたパフォーマンスパラメータの全てを慎重に考慮し実証することで、コストとリスクを管理しましょう!
追加情報
この白書(原文:英語)のダウンロード: PDF.
SENSUM自動外観検査機についてもっとお知りになりたい方は こちらをご覧ください。