記事

10月 29, 2021

全ての記事 >> 技術

目視による検査のリスク


E今日(こんにち)になってさえ、我々はしばしば機械と人間を比較します。人間の視力に比べてマシンビジョンの最大の貢献が、その検査の信頼性、再現性であり、また質の高さであることに疑いの余地がありません。これは実際、何を意味するのでしょうか?我々人間が錠剤、カプセルまたソフトジェルを目視検査する際のいくつかのリスクを見てみましょう。


ベルトコンベヤとライトを備えた、 “半自動” 検査機もあります。これも、検査と選別は人により行われることから、目視検査と考えられます。ところで、この工程ではなぜ人々はしばしばドラムの上に座っているのでしょうか?かつては世界中でよく見られた光景です!

1. 集中力は限られた資源! 目視検査は時間と共に質が低下します、それは我々が疲れるからです。機械は休むことなく信頼できる検査を続けることができ、既知のリスクは予側できますので、適切に稼働させればそれらを最小限にすることができます。例えば、製品が埃っぽく、埃でカメラが不鮮明になり、機械検査の質もまた劣化するかもしれません。しかし、機械検査の質の劣化は人間の場合とは違います。我々の方が、疲れてくると不良(重大なものでさえも)を見落とす可能性がより高いのです。一方、機械のビジョンシステムに質の低下があれば(例えば埃のため)、適切に設計されたビジョンシステムならば、起こり得る質の低下を突き止め、不良品がくぐりぬけることを防ぐ“制御”が組み込まれています。

2. 感度はスピードを嫌う。人は小さな不良を非常に敏感に見つけることができます。概して、目から20-25センチの距離で対象物が動かなければ、60-75µm の不良を検出できます。もし、上記の基準が満たされなければ、我々の感度は容易に1/10に落ちてしまいます。製薬業界向けソリューションの機械感度は一般的には50µm からスタートし、目視検査の場合のように、その検査速度は落ちません(限界はあります)。

3. 待って、私何を探そうとしているのだった? 様々な不良錠剤やカプセルのリストは、かなり長いものになり得、一般的には少なくとも20の違った不良があるでしょう。不良リストが長ければ、我々(人)は最もよくある数種の不良にのみ注目し、他のそれほど出てこない不良を見つけるのを忘れるかもしれません。

4. 我々(人)はそうすべきでない時でさえも、一定であろうとします。 我々は無意識に、一定したパーフォーマンスができるよう努力します。つまり、我々が製品の約2%を排除することが常である(または期待されている!)ならば、バッチ品質の如何にかかわらず、無意識に2%排除しようとします。もし、多くの不良が含まれた質の悪いバッチであれば、我々はエラー基準を低くするでしょう。つまり、大きなエラーのみに集中することで、排除率を予想範囲に収めようとします。一方、ほとんど不良のないバッチであれば、何かを排除しなければならないと感じ、通常なら受け入れ可能な僅かな製品のばらつきでも見つけようとします。

5. 光で我々が見えるものが決まります!検査では(目視でも自動でも)、光で様々な不良の可視性が決まります。 例えば、コントラストのある不良(汚れ、斑点、色)は拡散光でもよく見え、表面不良は光が低い角度からくると見えるようになり、バックライト(シルエットビュー)で形状やサイズ測定が最も容易くなります。一般的に目視では一つのタイプのライト、拡散光のみを使用します。それにより、目視はコントラストの低い表面不良、例えば刻印やエンボスの検査やコーティング不良には感度が落ちます。一方、機械は全ての不良タイプに対しての感度を上げるためにあらゆる光調整を用いることができます。

6. 目による絶対測定? 我々人間は確実な測定に悪戦苦闘します。 例えば、 絶対サイズ測定(錠剤厚み、カプセル長)は肉眼ではできません。正確な測定をするために、我々はノギスや目盛りの付いたマイクロスコープが必要です。このような測定は大量生産の場でリアルタイムに行うことは不可能です。ほかの例としては色があります。機械はどのような色空間であっても色を大変正確に測定できます。一方で、我々はただ、色をほかの色と比べることしかできません、つまり我々は常に検査対象の横に標準となるものが必要なのです。さらに、人間の色の感じ方は個人により違います。

7. 人に”セーブ“と”ロード“の機能があったらと想像してみてください! マシンは同じ製品に対して高い、また低い感度にコンフィギュレーションすることが容易くできます。様々な感度の設定がレシピとしてセーブされます。その製品やキャンペーンの要求事項に基づいて、それに対応するレシピがその後、いつでも呼び出すことができ、再現性のある信頼できる検査を行うことができます。すなわち、イレギュラーな検査キャンペーンの場合は、我々なら毎回、製品とキャンペーンの特性を再訓練、再導入されなければなりません。


毒性のある製品の場合は、作業者は製品を扱うために追加の個人用防護具が必要になります。これで検査工程は安全にはなりますが、明らかに作業はより困難な、時間のかかるものになります。



この記事は Miha Možina, PhD, が LinkedIn:に掲載した記事のうちの一つです。
https://www.linkedin.com/pulse/7-risks-manual-inspection-miha-mozina-phd


同様の投稿

php
錠剤は最も広く使われている経口投与の剤形です。 近年、錠剤製造機や品質管理システムが大きく改善されてきたにもかかわらず、
php
製薬企業は主観的でコストのかかる目視検査に換えて、自動外観検査選別機への投資をますます増やしています。これらの機械は人の
php
カプセルは錠剤に次いで、使用頻度の高い経口投与剤型です。使い勝手や充填物の点で柔軟性が高いため、医薬品や健康食品業界では
この記事をシェア: